雨生龍之介がバーサーカーを召喚したら 第一部・夢の続き あとがき

これにて、雨生龍之介がバーサーカーを召喚したら 第一部・夢の続きは終幕です。
実を言いますと、この第一部はPS版のFate/stay night[Realta Nua]のLast episodeを読んだ事に端を発しています。
あの士郎とセイバーが再開したシーンに嬉しいと感じつつも、それが実際にはとても難しい事なのでは? と感じました。
セイバールートを辿った士郎が居る世界と聖杯を諦め、ベディヴィエールの傍で眠りについたセイバーの世界は異なるのでは? と感じたからです。
言葉にするのは難しいので、私の感覚的に、と前置きをしまして、二人が出会うにはもう一つマーリンの奇跡以外にも奇跡が必要だと思い、この第一部を執筆しました。
それを実現させる事が出来ると考えたのはキャスターのサーヴァント・モルガンでした。
モルガンはマーリンに魔術を学び、そして、誰よりも深くアーサー王を愛していた女性です。
数あるアーサー王伝説の書物の中で、彼女はアーサー王を愛すると同時に激しく憎んでもいました。そのジレンマと夫や息子を初めとした何の躊躇いもなく、アーサー王を愛せる人々への嫉妬が彼女を陰謀の魔女に仕立てていきます。
ですが、彼女は最後に報われる日が来ます。それが、アーサー王の終焉です。
彼女はアーサー王の手を取り、アヴァロンへと誘った女性なのです。
アーサー王の終焉と共に、アーサー王へと向けていた憎悪から彼女は解き放たれ、アーサー王は彼女の手を取り、彼女は最後の最期でアーサー王を手に入れるのです。
Fateシリーズではアーサー王は女性なので、その愛の在り方も少しアレンジする事になりました。
彼女はアルトリアを妹として愛するが故に数々の陰謀を繰り広げ、果ては愛する人を死なせてしまい、後戻りが出来なくなり、最後にはアルトリアの幸福を願い、世界と契約します。
これはどちらかと言えば、アルトリアの聖杯を得るための契約と同様であると考えて下さい。
故に彼女は霊体化せず、最初に衛宮邸を訪れる時もわざわざ実体化したままやって来たのです。
長々と書きましたが、要は彼女こそがこの物語の主人公だったのです。

冒頭に書きました、第一部・夢の続き編とは、即ちこの物語はセイバールートとラストエピソードの中間地点たるセイバーの夢の続きに位置する物語だからです。
故に聖杯を諦めたセイバーでは無く、より聖杯という奇跡を求めるモルガンが切嗣の召喚に応え、それが故に本来の主従のクラスがバラバラに散らばったのです。
即ち、この物語の真のタイトルは[セイバーが聖杯を諦めたらどうなるか?]というのが実のところ正しいです。

それでは、あまり長々書くのもアレなので、第一部のあとがきはここまでにします。
ではでは、次なる聖杯戦争、第二部にもどうかお付き合い願います。
最期に、この作品に感想を書いてくださったみなさまに深い感謝を捧げます。
本当に、ありがとうございました。
そして、これからもよろしくお願いします。

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