第六話 雨生龍之介がバーサーカーを呼んだために方針を変える必要に迫られた人の話

「サーヴァント・キャスター。聖杯の寄るべに従いて、今ここに降臨した。問いましょう。今世に置き、この妾を召喚せしめる者、汝、何者であるか?」

 切嗣とアイリスフィールは騎士王の鞘を媒介に召喚を行った以上、現れるのは間違いなく彼のブリテンを治めし騎士王・アーサー=ペンドラゴンである筈だと信じていた。
 現れた女の名乗りに暫しの間沈黙が落ち、現れた女は切嗣とアイリスフィールの顔を交互に見ると、段々と不安そうな顔をし始めた。

「サ、サーヴァント・キャスター。聖杯の寄るべに従いて、今ここに降臨した。問うぞ。今世に置き、この妾を召喚せしめる者、汝、何者であるか?」

 僅かに声を張りながら再び名乗りを上げるキャスターのサーヴァントに切嗣とアイリスフィールは漸く落ち着きを取り戻した。切嗣は目の前のサーヴァントに視線を向ける。透き通る様な白い肌とこぼれてしまいそうな大粒の翡翠の瞳。完璧過ぎる顔の作りはまるで作り物のようだ。背の高さはアイリスフィール以下で、小柄な体躯は一見すると子供の様に見える。腰まで流れる赤い髪を宝石が散りばめられた金の髪飾りで結い、豪奢なドレスに身を包む目の前のサーヴァントはどう見ても、騎士王には見えない。
 仮に、騎士王が伝承とは異なり女であっても、騎士王はキャスターのサーヴァントとしての適正は無い筈だ。騎士王で無いのであれば、この英霊は何者だろうか。
 騎士王の鞘・全て遠き理想郷――――アヴァロンを寄り代に召喚出来る英霊は限られている。騎士王か、あるいはその作り手か、騎士王に鞘が与えられるように采配した者か、あるいは……。

「僕は此度の聖杯戦争におけるマスターの一人。衛宮家五代継承者、矩賢の息子、切嗣。彼女は僕の妻であり、協力者でもあるアイリスフィール・フォン・アインツベルン。お前の名は?」

 キャスターのサーヴァントは歴史に名を残す比類なき魔術師のみが該当する。共に戦うという点に於いて、魔術師殺したる切嗣にとってはセイバーよりもありがたい。
 だが、尤も裏切りを警戒すべきサーヴァントでもある。剣士たるセイバー、槍使いたるランサー、弓兵たるアーチャー、騎乗兵たるライダー、暗殺者たるアサシン、狂戦士たるバーサーカー。
 これらのクラスのサーヴァントは戦う者としての側面が強いが、魔術師たるキャスターは戦いよりもむしろ姦計に優れたクラスだ。味方として、敵を欺くだけならばこれほど頼もしい者は居ないだろうが、欺く相手が敵だけに限らないのがキャスターのクラスの恐ろしさだ。
 常に警戒を怠らず、監視の目を光らせ、言動一つ一つにおいても吟味する必要がある。最優のクラスたるセイバー、その中でも最強を誇る騎士王が召喚されたならば、アイリスフィールと共に行動させ、真のマスターたる切嗣自身は身を潜め敵を影ながら駆逐していくという作戦を取るつもりだったが、これでは作戦を変更せざる得ない。

「妾はモルガン。ティンタジェル公ゴルロイスとその妻イグレインの娘にして、ゴアの王ユリエンスの妻なるぞ」

 妖しく微笑むキャスターたる美女の名乗りに切嗣は瞑目した。そして、同時に思った。やはりか、と。
 妖妃・モルガン。アーサー王伝説に登場する悪しき魔女の名だ。騎士王を様々な策謀で翻弄し、最後はブリテンを滅びへと導いた女。
 なるほど、この女ならばアヴァロンを寄り代に召喚される事にも頷ける。何せ、この女は自らの恋人を騎士王に対する当て馬にした挙句、騎士王からアヴァロンを盗み出したのだから。

「まずは場所を移そう。そこで、お前の能力を詳しく聞きたい」
「よかろう。案内するがよい。切嗣よ」

 部屋に戻り、窓辺のソファーに切嗣とキャスターは向かい合うように座った。
 アイリスフィールはお茶を淹れて来ると言って、まだ戻って来てはいない。

「妾のステータスは見えるか?」

 開口一番にキャスターが言った。切嗣は黙って頷きながら、マスターに与えられるサーヴァントのステータスを把握する力を用いてキャスターのステータスを見た。
 属性は中立・悪。方針が社会秩序を肯定も否定もしない中立であり、性格は目的の為に手段を選ばない悪。
 キャスターは必要があれば、どんな悪辣非道な手段に訴える事も厭わない反面、必要が無ければ何もしないタイプらしい。裏切る可能性があるとすれば、それはキャスター自身が必要だと思った時だろう。
 ならば、彼女が裏切ろうと思わぬよう、心掛ける事が重要だ。切嗣はそう考えながら他のステータスに目を通した。
 筋力、耐久、敏捷、幸運のステータスは軒並み低い。筋力に至ってはEランク、即ち、最低ランクだ。反面、魔力はAランク。キャスターのクラスの典型的なステータスといったところだろう。
 陣地形成はAランク。魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げるというキャスターのクラススキル。このランクならば、ただの工房には留まらず、ソレを上回る神殿を形成する事が可能な筈だ。
 道具作成はAランクに+補正がある。魔力を帯びた器具を作成出来るスキルだが、このランクならば擬似的な宝具の作製すら可能かもしれない。これは詳しく聞き出す必要があるだろう。
 保有スキルの方は三つ。

『策謀:A』
『高速詠唱:A』
『魅了:B』。

 宝具は不明だ。

「ステータスは粗方把握出来た。幾つか質問をしていいかな?」
「構わぬ。申してみよ」
「保有スキルの内容を教えて欲しい。生憎、スキル名とランクしか僕には分からないんだ」
「お前にどう見えているかは分からぬが、そうだのう……、むぅ、戻って来たようだな」

 キャスターは言いながら部屋の扉に視線を向けた。
 丁度、アイリスフィールが部屋に入って来た。その手には何も無い。

「お茶を持って来るのではなかったのか?」

 キャスターは手ぶらで戻って来たアイリスフィールに首を傾げた。

「ごめんなさい。ポットが持てなくて……」

 アイリスフィールが俯き気に言うと、切嗣は慌てた様子でアイリスフィールに駆け寄った。

「大丈夫か、アイリ。顔色が悪いみたいだが」

 心配そうに見つめる夫にアイリスフィールは首を振った。

「これは仕方が無いわ……。切嗣、サーヴァントが一体脱落したわ」
「なんだって!?」
「まことか!?」

 切嗣はアイリスフィールを支え、ソファーに座らせた。

「脱落したのは?」
「バーサーカーよ」
「待て、何故分かる……、お主」

 まるで見て来たかのように脱落したサーヴァントのクラスを言い当てるアイリスフィールに怪訝な面持ちでキャスターはアイリスフィールを見つめ、目を瞠った。

「お主はホムンクルスなのか?」

 キャスターに言い当てられ、アイリスフィールは驚きながら頷いた。

「切嗣よ。この者をさっき、お主は妻だと言わなかったか?」
「ああ、そう言ったよ」

 切嗣の言葉にキャスターは表情を曇らせた。

「お主は何故、聖杯戦争に挑むのだ?」

 キャスターの投げ掛ける問いに、切嗣は目の前の英霊がアイリスフィールの正体を見破ったのだと悟った。
 さすがは魔術師の英霊といったところだろうか。

「僕が聖杯に望むのは世界の救済だ」
「世界の救済?」
「人が争う事の無い世界を僕は望む」
「それが聖杯に懸ける、お主の願いか、切嗣」
「そうだ」
「その為に、お主は妻を死なせる気なのか?」

 キャスターの問いに切嗣は直ぐに答える事が出来なかった。
 もう何度したか分からぬ自己問答。だが、未だに即答すらままならない。

「それでいいのよ」

 アイリスフィールが言った。

「私も願いは切嗣と同じ。私の願いを切嗣は叶えてくれる。なら、私は私に出来る事をしたい。ただ、それだけ。でしょ? 切嗣」
「ああ」

 アイリスフィールの言葉に切嗣は感情を噛み殺した声で答えた。

「アイリスフィールと言ったか?」
「ええ」
「それは本当にお主の望みなのか?」

 キャスターの問い掛けにアイリスフィールは微笑みながら頷いた。

「ええ、その通りよ」

 そんなアイリスフィールの答えにキャスターは小さく息を吐くと「そうか」と呟き、アイリスフィールから視線を逸らした。

「バーサーカーが消えたとなると、聖杯戦争の開戦の火蓋は既に切って落とされたらしいな。切嗣、水晶はあるか?」
「アイリ」
「ええ、持って来るわ」
「いや、僕も行くよ」
「あ……、そうだったわね」

 アイリスフィールは申し訳なさそうな表情を浮かべ、切嗣に支えながら部屋を出て行った。

 水晶を運びながら、アイリスフィールは切嗣に声を掛けた。

「ねえ、キャスターの事、どう思ってるの?」

 アイリスフィールの投げ掛けた質問に切嗣は肩を竦めた。

「まだ、どうとも言えないよ。何しろ、相手はキャスターのサーヴァントだ。容易には本性を探らせてはくれないよ。アイリこそ、アレをどう見る?」

 アレ、とはキャスターの事だ。切嗣はサーヴァントを一つの道具として考えていると前に言っていた。戦いについては切嗣は専門家であり、アイリスフィールには口を挟む事が出来ないが、その考え方でいいのだろうかと先程話したキャスターの事を考え思った。
 キャスターには感情がある。僅かに話した程度だが、それがよく分かった。キャスターは間違いなく、切嗣がアイリスフィールを犠牲にしようとしている事を非難していたし、アイリスフィールが自身を贄としようとしている事に憤っていた。表面上、取り繕っているだけだと切嗣は思うかもしれないが、アイリスフィールにはそれが作り物の感情とは思えなかった。

「私は信じられると思うの」

 アイリスフィールは自分が思うままに言った。

「きっと、彼女は切嗣の助けになってくれる。切嗣、きっと、彼女は私達を裏切らないわ」
「アイリ。相手はキャスターだ。それも、国一つ滅ぼした悪女だ。そう簡単に信じて良い相手じゃ……」
「切嗣」

 アイリスフィールの赤くつぶらな瞳が切嗣の褪せた瞳を捉えた。

「伝承を信じるより、今目の前に居る彼女がどんな人なのか、自分の眼で確かめるべきだわ」
「アイリ、君はどうしてそんなにキャスターを信じようとするんだい?」
「だって、似てるもの」
「似てるって?」
「人伝てで聞いたらなんて酷い人なんだろうって思ったのに、実際に出会って、話して、肌を重ねて、その人を自分の目で見て、自分の耳で聞いて、何て素晴らしい人なんだろうって思うようになった」

 アイリスフィールは切嗣の唇に己の唇を重ね、悪戯っぽい笑みを浮かべて言った。

「きっと、彼女もそうだと思う」

 言って、アイリスフィールは苦笑いを浮かべた。

「なんて、本当はただ、そう思いたいだけかもしれない。作り物の私には人の感情を真に理解するなんて事……」

 それ以上、アイリスフィールは言葉を続ける事が出来なかった。
 切嗣は己の愛する妻を抱き寄せ、その唇を塞いだ。

「アイリ……。君は僕よりもずっと人間らしい心を持っているよ」

 切嗣とアイリスフィールが水晶を運んで来ると、キャスターはソファーの前の小机に魔法陣を刻んでいた。

「水晶をこの上に」
「ああ」

 切嗣が魔法陣の上に水晶を乗せると、キャスターは不思議な言霊を紡いだ。何重にも反響したような不思議な声。切嗣はそれが高速詠唱のスキルによるものだとわかった。
 魔法陣に魔力が流れ、水晶にどこかの森が映し出された。視界はかなり低い位置にある。

「これは?」
「冬木において、魔術師が使い魔を通して覗いている光景だ」
「遠見の魔術を盗み見ているのか!?」

 キャスターは鼻を鳴らして唇の端を吊り上げた。

「現時点において、使い魔にラインを接続しているマスターを検索したが、思いの他、上手く事が運んだ。抵抗も弱い、とんだ未熟者が参加しておるらしいのう」

 切嗣は戦慄した。
 遠見の魔術とは自己の意識の入力先を使い魔などに移し変える転移の魔術の応用である。
 通常、他者の意識に介入する転移の魔術は限りなく成功率が低い。一般人であっても、他者の意識に介入する事は酷く難しい。にも関らず、キャスターは未熟と罵るが、ある程度自己防衛が出来る筈の魔術師の意識にキャスターは介入している。魔術師のクラスは伊達ではないという事か、切嗣は自身のサーヴァントの底知れぬ力に体を強張らせた。

「ふん、どうやら、この視界の主はサーヴァント同士の戦いを察知したらしいのう」

 水晶に映し出された映像の中には三人の人影が映し出されていた。
 一人は赤と黄の双槍を持ち、一人は黒と白の双剣を持ち、一人は小学生くらいの幼子だ。

「どうやら、あの赤い方のマスターはあの幼子のようだ。あちらはランサーか。マスターは居らぬ様子だが……む、戦闘開始のようだな」

 切嗣は一端、キャスターの魔術に関する考察を止め、水晶に映し出す映像に集中した。
 槍使いはキャスターの言うとおり、恐らくはランサーだろう。相手はセイバーか、あるいは他のサーヴァントか。戦いは凄まじいの一言に尽きた。
 水晶の中で互いに高速でぶつかり合い、何をしているのかすら曖昧にしか分からない。

「むぅ!?」

 キャスターは目を瞠った。

「同じ宝具……?」

 映像の中で何が起きたのか、切嗣とアイリスフィールには見えなかったが、キャスターには見えていたらしい。

「どうしたんだ?」
「ランサーの奴めが赤い方の剣を弾き飛ばしたが、再び手に同じ宝具が現れおった。同じ宝具を複数持つ英霊なのか、あるいは、飛ばされても直ぐに手元に戻って来るタイプの宝具なのか……」

 映像の中で更に攻防が続くが、あまりの両者の動きの速さに目で追う事が出来ない。

「馬鹿な、何を考えておる」

 キャスターの言葉に切嗣は何が起きたのか目を凝らした。
 すると、赤い方に斬りかかるランサーの両脇から赤い方が持っている双剣と同じ双剣が襲い掛かった。

「砕かれた……いや、今のは」

 飛来した双剣は弾かれるが、弾かれた内の一つが再びランサーに襲い掛かり、赤い方の持つ剣共々ランサーの槍の前に粉砕された。
 更に続けてもう一方の剣もランサーを襲うが再び赤い方の持つ残りの剣共々砕かれた。

「なんだ、この違和感は……。あれは――ッ!?」

 映像の中で砕かれた剣が再び現れた。同じ宝具がこれで四対。

「あれは、まさか、投影か!?」
「投影?」

 聞き覚えの無い単語にアイリスフィールが首を傾げた。

「術者のイメージによって魔力でオリジナルの鏡像を物質化する魔術だよ。確か、強化や変化の上位魔術だったと思う」
「その通りだ。もっとも、一から十まで全て魔力で再現する上に、人間のイメージは穴だらけだからオリジナル通りの性能を発揮する事は通常は出来ん。それに、投影魔術により作り出した物質は所詮は幻想。世界の修正の対象になり、魔力の気化に応じてその存在を薄れさせる。あのように宝具を投影し、その能力を発揮した上に、宝具と打ち合うなどありえん事だ」

 切嗣も投影に関して詳しいわけではないが、ある程度の知識を持っていた。故に、キャスターの言葉が理解出来る。
 仮に、あの赤いサーヴァントが投影により宝具を作り出しているというのならば、それは異常だし、反則的だ。何せ、宝具を投影出来るというのが事実であるなら、あのサーヴァントはほぼ無尽蔵に宝具を所有している事も同然なのだから。
 その後、戦況は圧倒的なまでにランサーが有利に運んだ。一時は赤きサーヴァントが後一歩までランサーを追い詰めたが、ランサーのマスターがランサーの宝具を解放し、油断と慢心を捨てたランサーを前にその力量の差が明らかとなった。
 戦場は緊迫しているが、しかし、キャスターはランサーの主人の言葉に腹を抱えていた。

「切嗣。アイリスフィール。聞いたか? ランサーのマスターのあの自信たっぷりな物言いを!」

 テーブルを叩きながらお腹を抱えて笑う美女に切嗣は顎に手をやりながら唇の端を吊り上げ言った。

「これは僕達にとっては好都合だな」
「どういう事?」

 アイリスフィールが尋ねた。

「ランサーのマスターはあの赤いサーヴァントをキャスターと信じ込んだ。つまり、僕達は幸運にも一つのアドバンテージを得られた事になる。尤も、それはあのサーヴァントにしても同じ事が言えるけどね」
「アドバンテージ?」
「つまりのう」

 小首を傾げるアイリスフィールに笑いの波が去ったらしい美女が答えた。

「妾達は自らのクラスを秘する事に労無く成功した訳よ。キャスターというクラスは対魔力を持つ英霊に責め易いクラスと思われておるからのう。黙した以上、あの赤いのもキャスターのクラスと勘違いされている状況を利用する気の様だしな。これを利用しない手は無いのう」

 戦いは結局ランサーの勝利に終わった。
 セイバーが乱入して来なければ、あのままあの赤いサーヴァントはランサーの前に屍を晒していた事だろう。セイバーが乱入後、突如、視界が消滅し、情報はそこでストップとなったが、視界の主は切嗣達に十分な情報を与えてくれた。

「どうやら、どいつもこいつも一筋縄ではいかない相手らしいな」

 切嗣は水晶で見た戦いを脳裏に浮べ、言った。

「だが、色々と情報は得られた。セイバー、ランサー、そして、あの赤いサーヴァントを捕捉出来、ランサーはその正体を知る事が出来た。これは十分な成果だと思うぞ」

 キャスターの言葉に切嗣が頷く。

「確かに、労せず得たにしては十分過ぎる情報だが、これだけでは足りない。引き続き、情報収集が必要だ。僕達の勝利には情報が命綱だ」
「それも分かるが、まずは冬木に趣き、拠点を作らねばならぬぞ。さすがに、これほど戦場から離れていると、得られる情報も限られる。さっきのもそう何度も通用する手段では無い。冬木と離れすぎているが為に駄目元でやったに過ぎぬのだからな」

 キャスターの言葉に頷き、切嗣は近くの机から冬木の地図をキャスターに見せた。

「拠点にはアインツベルンの古城が冬木の郊外の森にある。遠坂邸ほどではないが、かなり優秀な霊地だ」
「場所は既にあるという事か。ならば、早速赴き、神殿を形成せねばな。ついでだ、冬木の地形、及び霊脈について知りうる限りの情報を教えよ。相手は歴史にその名を届かせる英傑共だ。持ちうるあらゆる手札を使い切るつもりでいかねば、あるのは死だけだぞ」
「ああ、分かっているさ。どんな手を使ってでも、僕は勝たなくちゃいけない。サーヴァントがキャスターである以上、情報収集こそ何よりも優先すべき行動だ」
「ならば、妾達の方針は、聖杯戦争前半は息を顰め、情報収集に専念し、戦いに赴くとすれば、それは残るサーヴァントが半数になる――」
「――後半戦。それまでに情報収集以外にも可能な全ての手段を駆使し、準備しよう。この聖杯戦争、勝利するのは――――僕達だ」

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