第三十話「皹」

 天地乖離す開闢の星――――。世界そのモノを穿つ剣が冬木という街に齎した被害は甚大だった。私は覚束ない足取りで更地と化した街を歩いている。単なる偶然かもしれないが、被害が及んだのは深山町の南部。比較的、人家が少ない方だった。
 けれど、零じゃない。その方角には私が通う学校もあった。瓦礫すら残っていない学校の跡地を歩いていると、衝動的に叫び出しそうになった。別に友達が居たわけじゃない。部活にも参加していなかった。ただ、授業を受けるだけの日々だった。

「私の……」

 それでも、学校で過ごす時間は私にとって唯一の安らぎだった。家に帰れば蟲蔵での拷問を受ける毎日。友と語らう事も許されなかったが、少なくとも、学校に居る間は苦痛と無縁の生活を送れた。まるで、普通の人みたいな生活を送れた。
 その場所が無くなってしまった。

「あははっ」

 口元に笑みが浮かんで来る。たった一つの居場所さえ、失った。今度は自分の手で壊してしまった。
 おかしくて涙が出て来る。失ってばかりの人生。そんな私がこの世の全てを手に入れた古の王と契約しているなんて、悪い冗談だ。

「帰ろう」

 帰って、一度寝よう。まだ、戦いは始まったばかりなんだ。この程度で挫けてる場合じゃない。
 戦って、戦って、戦い抜いて、願いを叶える。
 蟲蔵での日々も、学校での日々も所詮は過去。一々振り返ってなんて居られない。どうせ、全部壊すのだから、学校を壊すくらい……。

「……あれ?」

 円蔵山の山道入り口まで戻って来ると、そこにアーチャーが立っていた。もしかして、待っていてくれたのだろうか。
 少しだけ、嬉しくなった。彼に対する私の中での第一印象は正に最悪だった。彼の姿を瞳に映す事すら不敬とされ、殺されそうになったのだから、良い印象を持てという方が無理な話だろう。けれど、ランサーとの一線以来、彼は私を雑種と呼ばず、小娘と呼ぶようになった。幾度も命を救ってくれた。
 恐ろしい人という評価に変動は無い。今夜、彼の怒りが多くの人の命を奪った。けど、彼が内に秘めるのはなにも|荒魂《あらみたま》だけじゃない気がする。きっと、彼の内には|和魂《にぎたま》もある。こうして、私を待ってくれている彼もまた、英雄王・ギルガメッシュの側面の一つなのだ。
 |嘗ての相棒《エミヤシロウ》とは似ても似つかない傲慢不遜な人。でも、少しだけ共通点を見出した。

「アーチャー!」

 駆け寄って、声を掛けた。返事が無い。釣れない反応に不満を感じ、もう一度呼び掛けてみた。やっぱり返事をしない。
 情緒不安定になっているのか、涙が浮かんで来た。無視しないで欲しい。今の私には|アーチャー《アナタ》しか居ないんだから、ちゃんと私を見て欲しい。
 思わず掴み掛かりそうになって、私は気が付いた。アーチャーが虚空を睨みながら何かを呟いている。

「どうしたの……?」

 問いを投げ掛けても、返って来るのは沈黙のみ。いい加減、痺れを切らし始めた時、アーチャーは信じられない行動を取った。
 背後の揺らぎ、|王の財宝《ゲート・オブ・バビロン》から乖離剣を取り出したのだ。この惨状を創り上げた剣。彼は何の躊躇いも無くソレを振り上げた。

「|天地乖離す《エヌマ》――――」

 そこから先はもう無我夢中だった。

「っに、してんのよ!!」

 アーチャーの宝具の発動は止まった。けれど、私の心臓も後どのくらい動いていられるか分からない。
 やってしまった。私は拳をアーチャーの頬にくっ付けたまま動けなかった。人類最古の英雄王の顔をぶん殴ってしまった。
 アーチャーは目を丸くしている。当然だろう。ひょっとすると、史上初かもしれない。彼の頬をいきなりぶん殴った不埒者は……。

「……何の真似だ?」

 ああ、ほっぺが意外とやわらかいわ。如何に人類最古の英雄王といえど、ほっぺは常人と変わらないのね。大発見だわ。人類史上類を見ない程の大発見。
 これを論文にして提出したら、ギルガメッシュ叙事詩とかの研究に何かちょっとくらい貢献出来るかもしれない。
 生きてたらね。

「何の真似かと聞いたのだが?」
「あは、あはは……」

 額からだらだらと汗が滲み出る。もう、笑うしかない。まさか、こんな馬鹿げた事で人生が終了するとは思ってなかった。
 ああ、どうやって死ぬんだろう。降って来るのは剣かしら? 槍かしら? それとも、斧かしら? いやいや、相手は人類最古の英雄王。もしかしたら、ドラえもんもびっくりのとんでもアイテムで殺されたりして……。

「……落ち着け」
「……はい」

 冷たい声で諭されて、私はゆっくりと彼から離れた。体が震えている。ああ、これから私は殺されるんだ。願いを叶える事も出来ず、敵と戦っているわけでも無いのにここで死ぬんだ。
 思えば、これまでの人生、良い事なんて全然無かった。最期くらい、楽に死にたいわ。

「さあ、来なさい!!」

 バッと両手を広げ、目を瞑る。最初に頭を潰してくれるよう必死に祈る。
 死ぬならやっぱり即死が良い。

「……落ち着け」
「……あれ?」

 降って来たのは冷たい声だった。恐る恐る瞼を開くと、アーチャーがまるでゴキブリを見るような目で私を見ていた。

「……こ、殺さないの?」
「殺して欲しいのか?」

 右手に物凄く凶悪なフォルムの鎌を手にしながら聞いてくるアーチャーに私は必死に首を横に振った。

「ならば、下らぬ事を聞くな。それより、さっきの……、気付いたか?」
「さっきの?」
「……いや、お前に聞いた我が悪かったな」

 何だか、凄くわざとらしい溜息を吐かれた。
 というか、どうしたんだろう? 何だか、アーチャーの様子が少しおかしい気がする。
 普段のアーチャーならとっくに無礼な真似をした私を殺していた筈。

「ど、どうしたの?」
「いや、少し気になる事があってな。一つ、試してみようかとも思ったが……」
 
 鎌を蔵に戻しながら、アーチャーは乖離剣を持ち上げた。

「日に何度も使っては威光に傷がつくか……。それに、我の目を欺く事など……」
「アーチャー……?」

 アーチャーは顎に手をやりながら考え込むように顔を伏せた。
 本当にどうしちゃったんだろう。何だか、心配になってくる。

「いや、今のは忘れよ。ただの戯言だ。それより、帰るぞ――――、凛」
「あ、うん!」

 先を行くアーチャーの後に続いて少し歩いてから私はふと違和感を感じた。
 今、何かおかしな出来事があったような……。

「って、アーチャー!?」
「ん?」
「い、今、私の事、凛って!!」

 そう、彼は確かに私を名前で呼んだ。それも、桜という偽名じゃない。凛という私の真名を呼んだ。
 目を見開く私にアーチャーは怪訝な表情を浮かべて言う。

「何の話だ? 貴様のような地を這いずる虫けら風情を相手にこの我が名で呼ぶとでも?」

 物凄い毒舌が返って来た。あれ……、私の気のせいだったのかな? 一瞬、浮かれてしまった自分が恥ずかしい。
 消沈する私にアーチャーは小馬鹿にしたように鼻を鳴らした。

「王たる我に名前で呼ばれる事を願うか……。まったく、お前という奴はいつもいつも……」
「えっと……?」
「我に名で呼んで欲しくば、価値を示せ。往くぞ」
「あ、えっと、うん!」

第三十話「皹」

 その事に最初に気が付いたのはセイバーだった。ルーラーもその存在には気付いていたがあまりにも距離が離れていた為に、何をしようとしているのかまでは分からなかった。
 距離、三千メートル。アサシンのサーヴァントは紅の装束に身を包み、弓を手に立っていた。番えるは螺旋の刃を持つ矢。

「――――|I am the bone of my sword.《我が骨子は捻じれ狂う》」

 唇の端が自然と吊り上る。膨大な魔力を注ぎ込み、アサシンは矢を放った。魔弾は夜気を裂き、目標に向かって一直線に突き進む。屋敷の中央で話し合いをしていた彼らに音速を超えて飛来するその矢を防ぐ手立てなど無い。
 勝った。そう、アサシンは確信した。古びた和風建築の屋敷の中に四騎ものサーヴァントが集っている。まさに袋の鼠だ。なんて、愚かな連中だろう。まさか、間諜の英霊たるアサシンの目を盗み、身を隠す事が出来るなどと本気で思ったのだろうか? それとも、アサシンなど警戒するに値しないと考えたのだろうか? どちらにせよ、奴らは大いなる過ちを犯した。
 
「死ね!!」

 アサシンが勝利を確信すると同時刻、真っ先に迫り来る脅威に気が付いたセイバーは聖剣を魔剣に変貌させていた。突然立ち上がった彼女に対し、無様に途惑う素振りを見せた者は一人も居ない。
 彼女が宝具の発動体勢に入った。それはつまり、宝具の発動を余儀なくされる程の脅威の到来を意味する。

「|我が麗しき《クラレント》――――ッ!!」

 気がつけたのは何も直感のみに頼った結果では無い。
 切嗣の奇妙な行動と言動。加えて、この屋敷のあちこちから香る魔術の痕跡。セイバーは普段にも増して警戒していた。
 切嗣は何かを狙っている。わざわざ、自らの身を他のサーヴァントやそのマスターに晒し、大袈裟な家族の再会シーンを演出するにはそれなりの理由がある筈だ。その意図を正確に読み取れたわけでは無い。ただ、彼が何かを待っているような気がした。
 研ぎ澄まされた感覚が遠く離れた地の僅かな魔力の流れを感じ取り、彼女の直感を後押しした。

「待て、セイバー!! 使うな!!」
「なにっ!?」

 切嗣の静止の声に気を取られた一瞬後、地面が大きく揺れ動いた。

「――――ッハ」

 アサシンは更地と化した屋敷跡を視て笑みを深めた。何者かが飛び出して来る気配は無い。
 当然だ。放った矢は一級品の宝具。かの騎士王が振るいし聖剣にも比肩する、ケルト神話の大英雄フェルグスの魔剣。もっとも、矢として使用する為に手を加えられているが故に伝承とは少し異なる形状をしているが、その内に秘められし幻想は計り知れない。
 現に|壊れた幻想《ブロークン・ファンタズム》による幻想の爆発はAランクに相当する破壊力を見せた。大英雄ヘラクレスの宝具すら貫く威力だ。それをこの身は無限に生み出す事が出来る。

「最強じゃないか……」

 恐れるかのようにアサシンは身に纏う紅の装束を指で抓んだ。
 前回の聖杯戦争の優勝者。アーチャーのサーヴァント、エミヤシロウ。固有結界『|無限の剣製《Unlimited Blade Works》』の使い手。一度見た剣は例え宝具であろうと複製出来る規格外の投影魔術師。
 しかも、投影した宝具の真名解放すら可能とし、本来、禁忌とされている壊れた幻想を文字通り無限に使える異端の英霊。
 笑いが込み上げてくる。こんなのまるっきりインチキだ。この力があれば、負ける理由が一つも無い。

「ハハッ」

 勝てる。この力があれば、ヘラクレスなんて使わなくても|あの英霊《・・・・》を殺す事が出来る。

「見ていてくれ、凛!! 僕は強くなった!! もう、君を泣かせたりしない!! 今度こそ、君を守り、君を不幸な運命の鎖から解き放ってみせる!!」

 輝かしい未来を夢想し、顔が歪む程の笑みが溢れた。

「アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ……ハハ、おや」

 哄笑するアサシンの瞳に瓦礫から姿を現す陰が映った。

「死に損ないめ……」

 禍々しい邪剣を構えるセイバーにアサシンは苛立ちに顔を歪めた。
 素直に死んでいればいいものを……。
 いいだろう。そんなにも無様な最期を遂げたいというならば叶えてやろう。

「――――|投影《トレース》、|開始《オン》」

 この身に宿す英霊の力はまさに最強。だが、この身に宿った力は最強を超えた究極。
 憑依させた英霊の力を今の己ならば本物以上に行使する事が出来る。

「……英霊の力って、スゲー!!」

 創り出したのは伝説に名高き王の剣。本来なら、エミヤシロウ自身でさえ固有結界内で無ければ投影出来ない至高の聖剣。星が鍛えし神造兵装。
 その剣の銘は――――、|約束された勝利の剣《エクスカリバー》。
 エミヤシロウの力だけでは不可能な投影。足りない部分を補強し、後押ししたのはクロエの力。小聖杯の願望機としての特性が英霊・エミヤシロウの魔術を昇華した。

「さあ、受けろ!! 最強の一撃を!!」

 魔力を剣に吸わせていくと、徐々に剣が変貌を始めた。禍々しき漆黒の光を帯び、魔剣と化したエクスカリバーをアサシンは大きく振り上げる。
 真紅の極光と漆黒の極光。魔剣同士が互いの存在を誇示するかのように輝く。
 片や憎悪と憤怒に塗れた表情。片や狂喜の笑み。相反する感情が魔剣に更なる輝きを与える。
 三千メートルの距離を隔てた二人の構えが同調する。

「|我が麗しき《クラレント》――――」
「|約束された《エクス》――――」 
 
 運命と呼ぶべきか……。嘗て、刃を交えた二振りの聖剣が永き時の果てに再び巡り合い、互いに魔剣と化して切り結ぶ。
 
――――今宵、勝つのは僕の剣だ!!

 心中の叫びを魔剣の真名に乗せて吼える。
 その時だった。アサシンは猛烈な悪寒に襲われた。鷹の目と称される|アーチャー《エミヤ》の眼がセイバーの背後から姿を現した一人の女を映し出す。
 元々、独学で魔術の勉強をしていただけの一般人に過ぎない間桐慎二の知識に彼女の情報は無かった。クロエから吸い上げたのは魔術に関する知識のみで、他家の魔術師についての情報などは吐き捨てた。下手な知識を吸い、間桐慎二の人格に歪みが生まれる事を恐れた為だ。
 その為にアサシンはバゼット・フラガ・マクレミッツについて、何も知らない。
 けれど、今のアサシンには彼女の持っているモノの正体が分かった。
 
「――――|父への叛逆《ブラッドアーサー》!!」
「――――|勝利の《カリ》ッ」

 踏み止まった。逆光剣の発動を阻止出来た。
 だが、脅威が去ったわけじゃない。それ所か、エクスカリバーの真名開放を中断したせいで全身に強烈な負荷が掛かり、身動きが取れない。
 セイバーの放った斬撃が迫る。

「|熾天覆う七つの円環《ロー・アイアス》!!」

 それで防げるなどと思ってはいない。ただ、他に手が思いつかなかったのだ。
 投擲武器に対する絶対の守りたるアイアスだが、セイバーの宝具の一撃を受けた瞬間、一気に五枚の花弁が散った。だが、斬撃は尚も花弁を喰い散らかしていく。
 残り一枚――――。魔力を注ぎ込めるだけ注ぎ込む。

「僕は……、僕はこんな所で終われないんだよ、セイバー!!」

 そんな彼の叫びを聞き届けた男が居た。
 もっとも、その男は決して彼の味方などではなく――――、

「いいや、終わりだ」

 彼の命を狙う死神だった。青き衣の死神は死を告げる槍をアサシン目掛け、投擲した。

「――――|刺し穿つ死翔の槍《ゲイ・ボルグ》!!」

 真紅の魔槍がその真価を発揮する。得物の心臓を喰い破らんと迫る。
 悪夢。全身全霊を掛けて展開している盾は崩壊寸前。そこへ、更なる宝具の追撃。
 絶対無敵の力を手にした筈なのに、どうして……。アサシンは悔しさに顔を歪ませた。

「|熾天覆う七つの円環《ロー・アイアス》!!」

 無謀な試み。本来、エミヤシロウという英霊は剣の属性に特化した魔術師。盾の投影は彼にとっての一種の切り札。無闇に使える程、容易く扱える宝具では無い。
 魔力の使用量。並びに、肉体への負担は他の投影と比較にならない程大きい。
 それを同時に二つ展開する暴挙。クロエの能力が後押ししているとはいえ、正に英霊・エミヤの能力の限界に挑む行為。

「……死ねない」

 アサシンの呟きは宝具と宝具の鬩ぎ合いの音によって誰の耳にも届かない。
 けれど、彼は声に出して言った。

「……死ねない。まだ、ここでは死ねないんだよ!! だから、来い!! バーサーカー!!」

 本来なら誰にも届かない筈の叫び。けれど、その叫びに応える怪物が居た。
 意思を完全に剥奪されたバーサーカーはアサシンの命に従い、この死地へ飛び込んできた。

「命のストックはまだあるだろ!! 何回死んでも、絶対に僕を守り切れ!!」

 瞬間、セイバーの斬撃がアイアスの最後の花弁を噛み砕いた。バーサーカーはアサシンの盾となるべく、彼の前に立ちはだかり、魔剣の一撃をその身で受ける。
 すると、アサシンにとって予想外の光景が広がった。
 バーサーカーは死ななかった。一度も死なずにセイバーの宝具を受け止めている。

「ッハハハハハハハ!! やるじゃないか、筋肉達磨!!」

 アサシンはランサーの宝具を受け、削れ往くアイアスに一段と魔力を篭めた。
 
「――――やった!!」

 幾度と無く続いたゲイ・ボルグの襲撃をアイアスは残り一枚まで削られながら耐え抜いた。
 
「ッハ、ハハ、耐えた。耐え抜いた!!」

 全身が今にも弾けそうだ。もはや、襲撃は完全に失敗だ。アイアスの二つ同時投影の無理が祟ったのだろうか、全身が酷く痛む。
 まるで、全身に毒が回り、肉や骨を溶かしているかのようだ。
 
「……んだよ、これ」

 痛い。耐えられない程の痛みが全身を苛む。けれど、ジッとしてはいられない。
 直ぐにも奴らが来る。逃げなければいけない。まだ、本来の目的を済ませていないのだから、こんな所で死ぬわけにはいかない。

「バーサーカー!! 敵を足止めしていろ!!」

 雄叫びが応えると同時にアサシンは身を隠した。アサシンが元から持つ気配遮断のスキル。息を顰め、気付かれないよう最速で移動する。
 こんな筈じゃなかった。アサシンは唇を噛み締めた。
 あのサーヴァントを殺す為に死肉を漁り、更なる力を得るつもりだった。なのに、この体は今にも死のうとしている。夢幻召喚のペナルティーがどうして自分だけは無効だと思い込んだのだろう。 
 霊格の低いアサシンの器で御せる力では無かった。このままでは死ぬ。死んでしまう。願いを叶える前に全てが終わってしまう。
 そんなのは嫌だ。絶対に嫌だ。何としてもあのサーヴァントだけは殺す。
 凛を戦いの運命に縛り付ける憎き英霊。|人類最古の英雄王《ギルガメッシュ》を必ず殺す。

「待ってろよ、凛。僕が絶対、君を救って……、そして……、今度……こそ……、守って……、みせる」

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