第四話「君の命を使い潰させてもらうよ」

 セイバーの予想は的中した。海浜公園に隣接するプレハブの倉庫街に男は立っていた。人の気配は全く感じられない。まさに、聖杯戦争の為の舞台に相応しい場所。

「……意外だ」

 男は呟いた。

「今日一日、街中を歩いてみたのだが、誰も彼も穴熊を決め込む腰抜けばかり。漸く、俺の誘いに乗る猛者が現れたかと思えば……」

 男は半眼で私を睨む。

「君はサーヴァントではあるまい。さりとて、この立ち昇るような魔力の波動……、一般人ではあり得ない。マスターだな?」
「……見破られたからには肯定しよう。慧眼恐れ入る。如何にも、私はマスターだ」

 男は僅かに息を呑んだ。

「それなりの殺気を放ったつもりだが、眉一つ動かさんか……。どうやら、唯人と油断して良い相手では無いらしい」
「お褒めに預かり光栄だ。私のサーヴァントは前衛向きでは無いので、やむなく、私が前衛を務めているが、侮れば……、死ぬぞ?」

 男の唇が吊り上がる。

「実に清澄な闘気だ」

 男は二振りの槍を構えて言った。

「前衛向きでは無いと言ったな? ならば、君のサーヴァントはキャスターあたりか?」
「貴方の想像にお任せるよ……、ランサー?」
「如何にも、俺はランサーだ。名乗れぬままに死合うは歯痒さがあるが、尋常なる勝負をしよう」
「……ああ、我が剣がどこまで英霊に通用するか、それを考えるだけで体が疼く。マリア・クリアウォーター。この名をこの決闘に捧げよう。僅かでも、貴方の歯痒さの慰めとなるように……」

 ランサーは目を見開き、やがて微笑んだ。

「サーヴァントでは無いからと言って、侮った非礼を詫びる。マリア! 君の名を俺はこの胸にしかと刻み込む。往くぞ!」
「来るがいい、ランサー!」

 ◆

 戦いが始まった、マリアは指示通り、真正面からランサーに挑み、戦っている。マリアの剣はオスミウムという特殊な材質で出来ているらしく、英霊の武器と打ち合ってもそうそう壊れたりはしない。
 だから、両者の戦いの優劣を決定するのは各々の技量と身体能力。マリアの身体能力はサーヴァントのステータスに換算すると、筋力がB、耐久がD、敏捷がCといったところ。
 筋力に関してのみなら両者は拮抗している。けれど、ランサーというクラスの最大の持ち味は敏捷のステータス。A+とC、その差は果てしなく大きい。
 加えて、ランサーは嘗て勇名を天に轟かせた英雄。技量の面において、マリアに勝ち目は無い。
 つまり、これは完全な負け戦。そんな事、最初から分かっていた。それでも行かせた理由は一つ。ライダーを誘き寄せる為だ。
 ある程度、ランサーと打ち合い、価値を示せば、彼が戦闘を中断させてくれる筈。そして、彼の呼び掛けによって、アーチャーが姿を現す筈。その時が勝負だ。

『セイバー様』

 無線機から周囲を探索させているホムンクルスから報告があった。

『下水道内で怪しげな男を発見しました。恐らく、間桐雁夜かと思われます』
「オーケー。今は待機だ。上の状況次第で合図を送る。確実に息の根を止めろ。間桐の魔術は侮れないから、肉片一つ残すな」
『了解』

 溜息が出た。今後の事を考えると、間桐雁夜を泳がせるのも悪い手じゃない。万が一、ここでアーチャーを仕留められなかった場合、彼を誘導してバーサーカーをアーチャーに差し向ける。バーサーカーの能力なら、ある程度、アーチャー相手でも戦える筈だ。少しでもアーチャーの動きを制限してくれるなら、後は俺が宝具で諸共に吹き飛ばす事も出来る。
 何にしても、ここが正念場だ。他はどうとでもなる。唯一にして絶対の天敵。アーチャーはここで殺す。
 望遠鏡のレンズに意識を向けると戦いが止まった。様子見は終わりという事なのだろう……。

「マリア……」

 ランサーが本気を出す。そうなれば、マリアは死ぬ。焦燥に駆られ、頭を上げると、遠くの空に救世主が居た。

「ライダー!」

 ライダーのサーヴァントが倉庫街に向かって行く。構え合う両者の間に立ち塞がり、高らかと何かを宣言している。

「これで、条件は全てクリアされた!」

 俺は望遠鏡を片付け、部屋の窓を閉じ、鉄製のカーテンを閉じた。
 俺が今居るのは海浜公園から僅かに離れた位置にある四階建てのマンションの一室。
 二時間程前に魔術に特化したホムンクルスを使い、この部屋を手に入れた。そして、光を一切通さない鉄製のカーテンを用意し、同時に魔力を外に一切洩らさない結界を張らせた。
 いざ、宝具を発動させれば霞の如く消え失せる事だろう。だけど、発動の寸前まで、この位置を隠してくれればそれで十分。
 今、鉄製のカーテンには外の光景が映り込んでいる。ビデオで撮影している窓の外の光景をリアルタイムで確認する為だ。更に、横の壁には斥候に向かわせたホムンクルスが接地したカメラの映像が映っている。

「来た!」

 戦場にアーチャーが現れた。という事は程なくしてバーサーカーが現れる。そうなれば、アーチャーはバーサーカーと交戦する事になり、動きが制限される。
 好機到来!

「マリアを除く、全ホムンクルスに通達! これから宝具を発動し、倉庫街のサーヴァントを一掃する!」

 魔力を一気にエクスカリバーに注ぎ込む。準備は万端だ。切嗣さんの魔力以外にも、事前に用意した外付け魔力タンク《ホムンクルス》からの魔力も流れ込んで来る。三回までなら疲弊せずに発動出来る。

「……ごめん、マリア」

 息を深く吸い込み、俺は鉄製のカーテンに向けて刃を振り上げた。

「約束された勝利の剣《エクスカリバー》!」

 振り下ろした剣から光の刃が奔る。光は刹那の間に倉庫街へ到達し、そのまま、海の彼方へと消えていく。だけど、これで終わりじゃない。万全を期すのだ。

「エクスカリバー!」

 二撃目のエクスカリバーを戦場に向けて放つ。一撃目を運良く回避、あるいは防御出来たとしても、最大威力で放たれたエクスカリバーの真名解放を凌ぎ切れる筈が無い。
 だが、三発目は温存だ。即座に準備しておいた逃走経路へ向かう。此方の情報でくれてやれるのはランクA++の宝具を持つ事のみだ。
 あらかじめ、開けておいた扉から外に飛び出し、直ぐ近くのマンホールから下水道に降りる。そこにあったのは『Fate/ZERO』でも登場したモンスターマシン、ニトロエンジン搭載を搭載したYAMAHAのV-MAXだ。既に発信準備は完了している。
 一発目のエクスカリバーを放ってからここに到着するまでの時間は一分弱。仮に敵が生き延びていたとしても、追いつかれるまでは時間が掛かる筈だ。
 アクセル全開。モンスターマシンがその性能をフルに発揮する。迷路のような地下水道を一気に駆け抜け、脱出予定地点に三分で到着した。そこに待機していたホムンクルスが立っている。

「コイツを頼むぞ」
「了解」

 バイクを惜しんだわけじゃない。目の前のホムンクルスにはこれから囮になってもらう。バイクで走り去るホムンクルスを尻目に地上へ出ると、目の前にポルシェ959が待っていた。

「これから予定通り、拠点A2へ向かう」

 車に乗り込み、指示を出す。すると、同時に車は走り出した。

「情報をくれ」

 隣に座るアイリに問う。

「バーサーカーとランサーの討伐に成功しましたが、アーチャーとライダーには逃亡を許しました」

 思わず舌を打った。肝心の相手を逃してしまった。

「詳細を頼む」
「ランサーは付近にマスターが潜んでいたようです。主君を救出しようと背を向けた所にマリアが一撃を加えました。それが一瞬、ランサーの動きを止め、エクスカリバーを直撃させる事が出来たようです。バーサーカーに関しては、一撃目で重傷、二撃目で消滅したようです」

 アーチャーを倒せなかったのは残念だったけど、マリアは十分過ぎる仕事をしてくれたらしい……。

「マリア……。それにしても、バーサーカーは一撃目を耐え抜いたのか……」

 つまり、サーヴァントの中にはエクスカリバーの直撃を受けて尚、生き永らえる者が居るという事。

「ライダーはマスターが咄嗟に令呪を発動したようです。膨大な魔力を纏い、直撃する寸前に戦場から離脱しました」
「アーチャーは?」
「彼は一撃目の直撃を受け、負傷したものの、二撃目を強力な盾の宝具で防ぎ、空を浮ぶ黄金の船に乗り、エクスカリバーの発射地点へ向かい、無数の武具を降らせました」

 つまり、あのマンションは全壊したわけだ。住人は遠ざけておいたものの、空恐ろしさを感じる。

「追っ手は?」
「今の所は確認されていません。ライダーは消息を絶ち、アーチャーもマンションを崩壊させると共に姿を消しました」
「だが、油断は出来ない。気配遮断スキルを持つアサシンが追跡している可能性もある」

 深く息を吐き出した。神経が昂ぶっていて、どうにも落ち着かない。
 万全を期した攻撃を防がれた。だが、一撃目が直撃しているなら、あるいは引き返して一気に……いや、それは早計だ。

「間桐雁夜に関しては?」
「バーサーカー消滅と同時に狂乱している所を殺害しました。御指示通り、肉片一つに至るまで、火炎放射器で焼き切りました」
「わかった。念の為、間桐邸の監視は緩めるな」
「了解」

 しばらくして、トラブル無く拠点A2に到着した。そこは繁華街から少し離れた場所にある住宅街。高級感のある佇まいの家が立ち並んでいるから、ポルシェもあまり目立たない。
 車庫入れし、邸内に入ると、事前に待機していたホムンクルスが紅茶を出してくれた。

「ありがとう」

 一息つき、直ぐに思考に耽る。
 とりあえず、ランサーとバーサーカーが脱落した。この時点で残るサーヴァントは自分を含め、セイバー、アーチャー、ライダー、アサシン、キャスターの五体となる。
 正直言って、厄介な相手ばかりだ。特にアーチャー。彼を倒す策を早急に立案する必要がある。

『セイバー様』

 無線から報告が入った。

『B12でライダーと思しき飛行物体を確認しました』

 その報告に呼応するように別の報告が入る。

『ライダーと思しき飛行物体が下降しています』
『B13に着陸。捕捉しました』
「わかった。そのまま、奴等の拠点を突き止めてくれ」

 実を言えば、ライダーとそのマスター、ウェイバー・ベルベットの拠点を発見する事は難しくない。彼らがマッケンジー夫妻の家に潜り込んでいる事が分かっているからだ。だが、街中に配したホムンクルス達が自力で見つけてくれたおかげで手間が一つ省けた。
 ここで問題になる事は一つ。即座に討伐に向かうか、泳がせるかだ。
 彼らに関して言えば、時間を置いても問題にならない。むしろ、マスターであるウェイバー・ベルベットにとって、マッケンジー夫妻が掛け替えの無い存在に昇華する。そうなれば、彼らが人質として機能してくれるようになる。それに、彼らはどこよりも早く、キャスターの拠点を発見してくれる。
 キャスターやそのマスター、雨生龍之介の趣味趣向に対して、俺には何かを言う資格が無いから止める気も無いが、最終的には倒さなければならない。となればライダー陣営は泳がせておく方がいいかもしれない。

「ライダー陣営に関してはしばらく泳がせる。拠点が分かったら、周囲一キロ圏内に監視網を敷け」

 無線から『了解』という答えが返って来る。
 さて、考えを戻そう。アーチャーをどうやって倒すかだ。遠坂葵と遠坂凛の捕縛は切嗣さんに任せてあるから問題無いだろう。葵の方はともかく、凜は十分役に立ってくれる筈だ。
 問題があるとすれば、時臣が如何に凜を救いたいと主張しても、アーチャーが言う事を聞かない可能性があるという点だ。スピンオフゲームの『Fate/extraccc』では、彼に令呪は全く効果が無かった。
 アヴァロンを使えば真正面からでも倒せる可能性はあるが、それは最終手段だ。出来れば、直接戦闘は避けたい。

「一時的に身を潜めるか……」

 今夜は七騎中二騎が消滅した。つまり、始まって早々、いきなり中盤戦に突入してしまったという事。それぞれの方針を見定める必要がある。

「そろそろ定時連絡の時間だな」

 切嗣さんとの交信用インカムを身に着ける。時間が来ると、向こうから声が届いた。

『派手にやっているみたいだね』
「……はい」

 声が震えた。切嗣さんの声を聞いた途端、緊張の糸が切れた。

『……大丈夫かい?』
「……はい」

 涙が止まらない。とても、大丈夫なんかじゃない。

『……報告は落ち着いてからでいい』
「……いえ、大丈夫です」

 涙を服の袖で拭い、今日の経過報告を行った。
 話し終えて、しばらくすると、切嗣さんは溜息を零した。

『聖剣の発動に関しては聞いていたが、詳しい報告はまだ受けていなかったんだ。まさか、もう二騎も倒してしまっていたとはね……』
「はい。マリアのおかげです……」

 笑顔がとっても可愛いマリア。俺が殺したマリア。俺が道具として使い潰したマリア。

『……セイバー。僕達と合流するか?』
「いえ……、アサシンが監視している可能性があります。下手に接触はしない方が良いと思います。それより、明日以降の行動についてですが……」
『ああ、君の意見に僕も賛成だ。エクスカリバーを真っ向から受け止めたというアーチャー。奴は他にも無数の宝具を操っていたらしい。一体、奴の正体は……』
「恐らく、人類最古の英雄王、ギルガメッシュです」
『……ギルガメッシュ?』
「はい。彼の宝具は恐らく、かの王が生前集めた財宝を収めた蔵だと思われます。それ故に、彼の宝具は背後の揺らぎから顔を出して現れるという奇怪な工程を経たのでしょう」
『なるほど……。確かに、かの王の蔵になら、ありとあらゆる宝具の原典があったとしても不思議では無いな……』
「加えて、報告によると、彼は倉庫街で王を名乗ったそうです。ライダーのサーヴァント、イスカンダルの名乗りに対して」
『ああ、そう聞いている。という事は、ほぼ間違い無いという事か……。厄介だな』
「はい。恐らく、俺達の最大の敵はあのアーチャーになると思います。なので、彼を倒す事を最優先に考えたいと思います。なので、今後は他の陣営を泳がせ、アーチャーに対する当て馬にする方向で向かいましょう。必要とあれば、他陣営のマスターの親類などを人質に使い……」
『そうだな。キャスターの陣営は未だ捕捉出来ていないが、ライダーのマスターの拠点を確認出来た事は行幸だ』
「禅城の家の方はどうでした?」
『遠坂時臣の妻と娘を捕捉した。娘はこの状況下で小学校に通っているらしい。暢気なものだ』
「攫い易い事に越した事はありませんよ。ただ、しばらくは――――」
『ああ、分かっているさ。下手に刺激を与えても拙い。使うかどうかは今後の展開次第だ』

 とにかく、今は様子見に徹するしか無い。

「しばらくは潜伏し、様子見に徹します」
『了解だ。……ところで、アイリが話をしたがっているんだが、いいかい?』
「え? あ、はい! 勿論です!」

 応えると同時にアイリスフィールの可愛らしい声がインカムを通じて流れて来た。

『セイバー、大丈夫?』
「も、勿論です! 全然へっちゃ――――」
『嘘は駄目よ、セイバー』

 アッサリと俺の嘘は見破られてしまった。

『泣きたい時は我慢しちゃ駄目よ? 貴女、今、すごく苦しんでいるでしょ?』

 心の内を見抜かれた事に動揺して言葉が出なかった。

『セイバー。私達の安全を第一に考えてくれているのは分かる。でも、どうしても辛くなったら、私達の下に来ていいからね? 何も出来ない私だけど、貴女を抱き締める事くらいは出来るから……』
「アイリスフィール……」

 俺はそのまま泣きじゃくった。何を言ったかは覚えていない。ただ、マリアの事ばかり、口にしていた気がする。
 アイリスフィールはずっと、俺の泣き言を聞いてくれた。
 サーヴァントが二体倒れ、既に身体機能に異常が発生している筈なのに、ずっと、俺を慰め続けてくれた。

「アイリスフィール……、ありがとう」

 俺は彼女に別れを告げ、インカムを外した。
 今日の事が必ず今後の展開に影響を及ぼす。俺が今宵、キャスターと出会わなかった事で、アサシンはキャスターを捕捉出来なかった筈だ。つまり、ルール変更及び、休戦協定は無いと思っていいだろう。
 そうなると、ライダー達がキャスターを発見してくれるかも怪しくなってくる。
 アイリスフィールと話したせいか、イリヤの顔が脳裏にチラついた。小さくて可愛い雪の妖精。彼女と同年代の少年少女が殺されている。
 マリアを殺し、ランサーを殺し、バーサーカーを殺した俺に彼らを責める資格なんて無いけど、子供達が殺されるのを黙認するのも……。

「いや、止めておこう。今、部屋に動くのは危険だ。何より優先すべきは聖杯戦争に勝利する事。それ以外の些事に感けている暇は無い」

 精神的な疲れを感じ、俺はベッドに入った。何かあれば、この体は直ぐに目覚められる。

 翌日、目を覚ましたのはお昼過ぎだった。想定以上に寝入ってしまったらしい。慌てて起きると、ホムンクルス達が食事を用意してくれていた。
 食事を摂りながら、ふと思った。遠坂凛に関しては俺達の行動による影響を一切受けていない筈。なら、明日、彼女は冬木市に乗り出す。そこで、彼女はキャスターのマスターと遭遇する筈だ。
 彼女を助ける筈だった間桐雁夜はもう居ない。つまり……、

「……さすがに外道過ぎるかな? でも、上手くやれば遠坂時臣の目がキャスターに向く筈。元々、人質として使ってもアーチャーへの抑止になるかは微妙だし……」

 決断し、即座に準備を開始した。
 遠坂凛をキャスターと雨生龍之介のアートにさせる。そして、そのアートを発見させる。そうすれば、確実にルール変更のイベントが発生する筈だ。同時に、時臣の目はキャスター討伐に向かう筈。
 あるいは、アーチャーを不意打ちする事も可能かもしれない。
 それに、遠坂凛をそれで使い潰しても、もう一人、時臣に対する交渉材料が残っている。彼女を奪うのは難しくない筈だ。

「アハハハハハ!」

 いきなり笑い出した俺にホムンクルス達が目を丸くした。そんな彼等を尻目に俺は窓へと向かう。

「やってやる。やってやるさ! 出来る筈だ! マリアを殺した俺になら、どんな事だって出来る筈だ! いや、出来ないなんて許されない。だから――――」

 切嗣さんが見せてくれた資料の中でほがらかに微笑む遠坂凛の顔を思い浮かべた。
 イリヤと歳の変わらない少女。

「君の命を使い潰させてもらうよ……、遠坂凛」

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