第五十八話「クライマックス推理」

 やかましい程の笑い声が辺り一面に鳴り響く。声の主は私だ。複雑に絡み合っていた糸が漸く解けたような、実に爽快な気分だ。

「謎が解けた」

 これまでの推理は全て、『そう考えれば筋が通る』というだけのもので、言ってみれば、『こじつけ』に『こじつけ』を重ねた暴論だった。正直、違和感満載でどうにも納得がいかなかった。
 私が自らの死という事実を受け入れて尚、こうして敵の本拠地まで乗り込んだ理由もコレだ。『真実』。私が求めていたのはそれだけだった。その為にバゼットを炊き付け、凜やクロエに同調し、皆を扇動してここまで辿り着いた。

「なるほど、前提からして、間違っていたというわけか」
「ラ、ライネス……?」

 目の前で起きた現象に目を奪われていたバゼットが私を戸惑いの眼差しで見る。どうやら、まだ、気付いていないらしい。
 ほぼ、正解が提示されているにも関わらず、答えを導き出せたのは私だけのようだ。悪くない気分だ。
 
「漸く、全てのピースが埋まるべき所に埋まったよ。黒幕は『イリヤスフィール』では無い。そこに居る『遠坂凜』だ」

 誰もが間抜けな表情を浮かべる。実に気分が良い。世のミステリー小説に登場する名探偵達はきっと、謎解きをする時、このような感慨に耽っているのだろう。
 実に甘美だ。
 
「ライネス。貴女、何を言ってるの?」

 クロエが問う。私は言った。
 
「真相だよ。さあ、聞いてくれたまえ、これが私の出した結論だ」

 最初に感じた違和感は『遠坂凛』と『ルーラー』が前周回の記憶を持ち越した事。私は当時、提示されていた情報を下に一つの仮説を立てた。
 即ち、『|アーチャー《ギルガメッシュ》が二人の死を偽装した事で二人は『情報ごと魂』を新たな周回へ持ち越した』という説だ。皆は異論を挟まずに納得してくれたが、この仮説を提言した当人である私自身は納得し切れていなかった。
 この仮説には大きな穴があるからだ。
 
「穴って?」

 フラットが青褪めた表情で問う。
 
「この仮説には幾つか前提条件が必要となる」
「前提条件?」

 バゼットが問う。

「分からないか? 如何に死を偽装し、周回が終わる毎に行われる|再起動《リセット》を免れたとしても、次の周回に情報を持ち越す為には関門がある」
「関門って?」

 クロエが問う。
 
「周回が終わった段階でその周回の情報を保有した魂を維持出来たとしよう。それを次の周回にどうやって持ち越す? 考えられる方法は三つだ」

 私は拳を丸めた状態から人差し指だけを持ち上げた。
 
「一つ目は新たな周回が始まった時に、再び実体化する事。だが、クロエの話を聞く限り、これはあり得ない。何故なら、これの条件は周回毎に魂が|再利用《リサイクル》されている事だからだ。クロエの話によれば、『周回毎に全ての複製された魂は破棄される』との事。ならば、次の周回が始まったとしても、既にそこには新たに複製された魂があり、凜は『遠坂凛』として実体化する事が出来ない」

 ならば、と中指を持ち上げる。
 
「二つ目。一つ目の案と重なるが、新たな周回が始まった時、既に存在している複製された魂を排除し、立場を乗っ取る案だ。だが、これは凜の言葉が否定する。凜は『気が付いたら新たな周回の遠坂凛になっていた』と言っていた」

 では、と薬指を持ち上げる。
 
「三つ目だ。これは一つ目や二つ目とは大きく異なるが、要は情報を本体の魂に持ち帰り、その後、複製された魂にも持ち帰った情報を与えるというものだ。だが、これも周回毎に魂が破棄されるのならば成立しない」

 手を下ろし、肩を竦める。
 
「魂が周回毎に破棄されるという事は、『複製された魂』と『本体』の関係は『一方通行』なものという事。複製された魂が本体に干渉する事は出来ないという事だ」
「でも、凜とルーラーは現に……」

 クロエの言葉に私は一つの事実を付け加えた。
 
「それと言峰士郎だな」
「あっ」

 一同の視線がエミヤシロウに集まる。彼は状況が掴めていないのか、困惑した表情を浮かべている。彼や言峰士郎の言によれば、彼が夢幻召喚されたのはライダーが敵側で召喚された彼を倒した直後。最低限の意思疎通は出来たのだろうが、全ての事情を説明する時間は無かった筈だ。
 本当なら山程の疑問があるのだろうが、それを胸中に押し留めている彼の我慢強さは称賛に値する。
 
「一度、話を整理しよう。この世界で周回を跨ぎ、記憶を持ち越す事が出来たのは『遠坂凛』、『ルーラー』、『言峰士郎』の三人と『黒幕側の人物』だ」

 私は言った。
 
「では、何故、彼らは記憶を持ち越す事が出来たのか? 一人ずつ考えてみよう。まずは、言峰士郎からだ」

 彼女の場合は簡単だ。黒幕側の人間から干渉を受けたからに他ならない。
 本来、キャスターのマスターとして存在する筈の言峰士郎。だが、黒幕側はキャスターの存在を隠蔽する為にそのマスターであった彼女の事も隠蔽する必要があった。それが存在しない筈の言峰教会のシスター、カレン・オルテンシアの登場の理由だ。
 干渉した理由は恐らく、周回が始まる毎に彼女にカレンという人物を演じるよう命じるより、彼女の特異な性質を鑑見れば、彼女に記憶を持ち越させ、自らの意思で演技してもらう方がずっと効率的だからだろう。

「では、次にルーラーだ」

 彼女の場合はかなり特殊だ。そもそも、彼女の正体は『|抑止の使者《ルーラー》』ではなく、『|抑止力《カウンターガーディアン》』そのものであり、この世界の外側の意思が送り込んで来た異物だ。
 『ルーラー』という『クラス』を寄り代にした事で彼女はこの世界の法則に縛られていたが、異物である事に変わりはない。つまり、彼女は他のサーヴァント達のように逐一周回毎に再召喚される事は無い筈なのだ。
 ならば、どうやって彼女は周回を跨ぎ、幾度も再召喚を繰り返しているのか? その答えは恐らく言峰士郎にある。彼女はルーラーの寄り代に選ばれた理由を『夢幻召喚が行えるから』だと考えたようだが、私の考えは違う。
 ルーラーは『周回を跨ぐ事が出来る人物を寄り代に選定した』のだと私は考えている。最初の寄り代候補とされた三人とは、イリヤスフィールとクロエ、言峰士郎の三人では無く、『黒幕として扱われていたイリヤスフィール』と『黒幕から干渉を受けた言峰士郎』、そして、『遠坂凛』の三名の事だ。
 そう考えると、ルーラーが周回を跨げる理由も分かってくる。
 恐らく、言峰士郎は記憶を持ち越す為に周回毎に魂を破棄されずに次の周回へ送られている。ルーラーはそんな彼女を道標にして、周回を跨いでいるのだろう。
 
「さて、だとすると実に奇妙な存在が居るな?」

 私の言葉に誰もがギクリとした表情を浮かべた。
 
「実に奇妙な話じゃないか? 他の記憶を持ち越す事が出来た者達は須らく黒幕から干渉を受けている。にも関わらず、『遠坂凛』はただ、死を偽装しただけで記憶を持ち越す事が出来た……」

 私の言葉の意味が理解出来たのだろう。クロエとフラットに至っては恐怖の表情を浮かべている。
 
「ギルガメッシュは全てを理解していた。|黒幕《アンリ・マユ》はそう言っていたな? その意味もここまで来れば分かるだろう?」
「まさか、ギルガメッシュは凜ちゃんが……」

 フラットが慄くように呟く。

「そうだ。凜が黒幕だという真実に至っていた!」
「待って! あり得ないわ!」

 クロエが声を荒げた。
 
「何故だ?」

 私が問う。
 
「だって、もしも彼が貴女の言う真実に至っていたとしたら、彼が凜を救おうとする筈が無い!」

 クロエは断言した。
 
「確かに、この周回の彼は優しい人だわ。だけど、前周回の彼は違う。まさに暴君と言って差し支えの無い人物なの! もし、凜が黒幕だと彼が知っていたのなら、凜の記憶を次の周回に持ち越すなんて真似はしなかった筈だわ! むしろ、彼女に怒りをぶつけていた筈!」
「それでどうにかなるなら、彼はそうしていたかもな」
「え?」

 私の言葉にクロエは戸惑いの表情を浮かべた。
 
「確かに、暴君だったのだろうな。だが、それでも彼はギルガメッシュだ。この周回の彼を見ても、唯人如きでは計り知れない叡智を持っている。凜を殺す事で世界を閉じる事が出来るなら、彼はそうしたかもしれない。だが、実際は違う。凜を殺しても、結局、彼女は次の周回に移動するだけだ。それでは、結局、彼女は新たにギルガメッシュを召喚するだけだ」

 むしろ、と私は続けた。
 
「暴君だからこそ、それが許せないのだろう。幾度も、自らの魂を弄ばれる事を屈辱と感じたに違いない。だからこそ、彼は凜に記憶を持ち越させた。そして、彼女自身の手で世界を閉ざすよう道を示した」

 私の言葉にクロエは納得し切れなかったのか、「でも」と口を開いた。
 
「そこまで分かっていたなら、どうして彼は凜にその事を告げなかったの?」
「己の魂を弄んだ事に対しての怒りが彼女に試練を課すという形で現れたのかもしれない。考えてもみろ。必死に追い求めた真実が『自らが黒幕だったという真実』だったら、君ならどうだ?」
「それは――――ッ」
「絶望的だろう? まあ、実際の真意は分からんがな」
「でも、そんなの貴女の推測でしか……」

 クロエが言う。この後に及んで、そんな言葉が出て来るとは驚きだ。なら、別の根拠を提示するとしよう。
 私が抱いた違和感は他にもある。例えば、凜の話にあった前周回でイリヤスフィールの名を名乗った少女の事だ。
 私はさっきまで凜が抱いていた少女に歩み寄った。呆然とした表情を浮かべる彼女に私は言った。
 
「君からも証言して欲しい。君は誰だ?」
「……イリヤス……、フィール」

 自信無さ気に彼女は言った。けれど、これで良い。
 
「そうだ。君はイリヤスフィールだ。偽物などでは無い。正真正銘の本物だ」
「な、何を言ってるの!?」

 クロエが声を荒げた。
 
「その子はイリヤじゃない! あの子が作り上げた人形よ!?」

 頭上のステンドグラスの中央で眠る少女を指差し、クロエは言った。
 
「そうだ。ただし、正確じゃない。あの子はイリヤスフィールの本体であり、彼女はその複製。私達と同じだ! 君自身が言った事だぞ! 我々の魂の本体はここにあると! 『天の逆月』にあると!」
「何を言って……」
「解離性同一性障害」

 私の言葉にクロエは凍り付いた。
 
「君はイリヤがその病を患っていると教えてくれたな。では、解離性同一性障害とはどういった病なのか? そこに焦点を合わせてみよう」

 私は言った。
 
「解離性障害とは患者本人にとって堪えられない状況を『|離人症《ディパーソナライゼーション》』のように『それは自分の事では無い』と感じたり、もしくは、『解離性健忘』などのように、その状況下における記憶や感情を切り離し、思い出せなくする事で自身の心を守る為に引き起こされる障害だ」

 そして、と私は続けた。
 
「解離性同一性障害はそれらの症状が更に深刻化した時に起こるもので、切り離した筈の記憶や感情が勝手に成長し、別の人格となって現れる症状を指す」

 私はクロエを見た。
 
「ここで重要なのはクロエ、君がイリヤスフィールの何を元にして成長したのか、という点だ。君達はクロエという人格の正体を『イリヤスフィールが作り上げたイマジナリーフレンドがそのまま交代人格に変化したもの』と考えていたらしいな? 恐らく、そこに間違いは無いだろう。だが、どの時点で交代人格に変化したのかは理解出来ていない」
「どういう意味……?」

 クロエは恐怖に駆られた表情で私を見た。
 
「恐らく、イリヤスフィールとクロエが分離したのは聖杯戦争の終盤だ。フラット・エスカルドスが死亡した時、二人は分離した」
「ま、待ってくれ! そんな筈無いよ!」

 フラットが堪らず口を挟んで来た。
 
「だって、俺はクロエちゃんと会話した事があるんだ! 海辺の公園で……」
「それはイリヤスフィール本人だ」
「……え?」

 私の言葉に衝撃を受けたのか、フラットは気勢を削がれたように声を萎めた。
 
「でも……、俺は確かに別人だと……」
「感じた。違うな。お前が勝手に勘違いして、それをイリヤスフィールは利用したんだ」
「なっ!?」

 フラットは私の言葉に絶句した。
 
「忠告してやろう。女という生き物は須らく女優だ。家族内であろうと、友人同士であろうと、恋人同士であろうと、相手に応じたキャラクターを演じ分けているものだ」
「そ、そんな事……」
「女に理想を見過ぎだな」

 私は言った。
 
「建前と本音」
「え?」

 首を傾げるフラットに私は言った。
 
「普通に考えてみろ。少なからず好意を寄せている相手に隠すべき本音を容易に暴露出来るか?」

 私の問いに彼は押し黙った。
 
「イリヤスフィールは救いの手を求めていた。だが、その本音を出すのは躊躇われた。何故なら、フラット、君に対して彼女は『助けを求めるばかりの憐れな女』と思われたくなかったんだ」
「そ、そんな!」
「家庭環境のせいもある。誰かに甘える事を知らない人間は強い人間であり続けなければならないと思う傾向がある。何故なら、弱さを見せても甘えられないからだ。むしろ、弱さを見せれば痛めつけられてきた筈だ。だから、『弱い事は悪い事であり、情け無い事なのだ』と思うようになる」
「そんな……」

 肩を落とす彼に同情しながら私は話を続けた。
 
「だから、彼女にとって、君が『寝起きで演技をする余裕が無い彼女』に違和感を持った事は非常に都合が良かった。クロエと名付けたイマジナリーフレンドを演じて、君に助けを求める事が出来たからだ」

 私の言葉に彼は俯いた。何を考えているのかは分からないが、そこは複雑な恋の悩みだ。私には理解が及ばないから無視する事にする。
 
「さて、私がイリヤスフィールとクロエの分離のタイミングを聖杯戦争の終盤であると考えた理由は単純だ。前周回でのイリヤスフィールの様子とクロエの様子、加えて、一週目の話。これらを統合すると、クロエはイリヤスフィールがこれまで経験して来た記憶全てを元に構築された人格だと考えられる」
「全ての記憶!?」

 誰もが言葉を失った。
 
「だからこそ、イリヤスフィールは天真爛漫な少女として、前周回を過ごした訳だ。全ての記憶を失い、零の状態になってしまった彼女はこの世界で妄想を自身の記憶と誤認して過ごしていたのだろうさ」
「う、嘘だ。そんな筈……」

 クロエは首を横に振りながら呟いた。
 
「だが、君自身が語った一週目の話の冒頭のイリヤスフィールと君自身の性格は非常に良く似ているぞ。そして、今のイリヤスフィールとイマジナリーフレンドであった頃の君の性格もとても良く似ている」
「で、でも! だとしても、どうして分離なんて……」
「言っただろう? フラットが死亡したからだ。彼女は彼に好意を抱いていた。だが、そんな彼が死んだ。その時の彼女の精神的苦痛は計り知れない。何せ、漸く手に入れた『自分を助けようとしてくれた人』であり、『愛した人』であり、『愛してくれた人』なのだからな。そして、そこにキャスターはつけ込んだのだろう」
「キャスター……? でも、彼は……」

 クロエの言葉を私は手で静止した。
 
「死んだ。だが、何時死んだかはアンリ・マユも言っていなかっただろう?」
「それは……」
「キャスターは確かに行動していたのだ。恐らく、イリヤスフィールの下に奴が向かった所までは真実なのだろう。だが、その後が違った」
「どういう意味?」
「そもそも、悪魔は人間を甘やかす存在だ。そんな性質を持ったキャスターがイリヤスフィールに悪意に満ちた言葉を囁き、こんな大舞台を作り上げるとは考え難い」
「つまり……?」
「こう考えれば辻褄が合う。イリヤスフィールには悪意に満ちた言葉など必要無かったのだ」

 私は『解離性障害』担当委員会の議長スピーゲルの言葉を引用する事にした。彼はこう言っている。

『解離性障害に不可欠な精神機能障害は広く誤解されている。これはアイデンティティ、記憶、意識の統合に関するさまざまな見地の統合の失敗である。問題は複数の人格をもつということではなく、ひとつの人格すら持てないということなのだ』

 この言葉が意味するのは別人格を持つ事は自己の人格すら保てない状態に陥っているという事だ。

「つまり、イリヤスフィールには何も意思が無かった。それ所か、彼女には判断能力などが欠落していた可能性が高い」
「じゃ、じゃあ……」

 クロエが力なく呟く。私は言った。

「恐らく、キャスターはイリヤスフィールを使い、聖杯を起動しようとしたのだろう。そして、そこから状況が変化したと考えられる」
「変化?」

 フラットが問う。

「十年前の第四次聖杯戦争の結末を思い出してみろ。凜が言っていただろう? 最後の刻、聖杯が起動した時、聖杯からは泥が漏れ出した、と」

 私は言った。

「つまりだ。大聖杯の中身……、|この世全ての悪《アンリ・マユ》が聖杯を通じて一部が外に流れ出したのだ。それが一週目のアーチャーと凜に襲い掛かった。そして、そこから全てが歪んだ」
「どういう意味?」

 クロエが問う。
 
「アンリ・マユが言っていただろう? 凛を穢し尽くす事が出来なかった、と。つまり、凜は泥によっては死ななかったのだ。だが、歪んだ。恐らく、クロエがイリヤスフィールの言葉だと思い込まされていた『全てを取り戻せる』という言葉は凜のものだ」
「そんなの、確証が無いじゃない!」
「だが、凜以外にその時点で思考能力を持った者は他に居ない。アーチャーは呑み込まれ、イリヤは意思を失い、キャスターはアンリ・マユ曰く、滅んだ。恐らく、キャスターもアーチャーと同時に泥に呑み込まれたのだろうな」
「でも、全部憶測じゃない! イリヤの事だって……」
「だが、全ての辻褄は合う。まあ、真実は本人の口から聞けばいい」

 私は離れた場所で一人呆然と、自らの胸に突き立てられた奇怪な形状の短剣を見下ろしている凜に視線を向けた。
 彼女は薄く微笑むと顔を上げ、私を見た。
 
「大正解。大した名探偵振りね、ライネス。まあ、色々と間違ってる部分もあるけど……」
「なら、説明してもらえるかな? 私が間違えた部分も含め、全ての事の真相を」
「ええ、良いわよ。正直、皆に多大な迷惑を掛けちゃったし……。とりあえず、白状するわ。私が黒幕よ」

 彼女はそう、軽い口調で語り始めた。

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